設立趣意書 医学は20世紀に入って、目覚しい発展を続けています。その成果は人々の生命を支え、寿命を延ばし、私達に多くの可能性を与えてくれました。 一方で、治癒を望めなくなった患者やその家族に対する関心も、これまでになく強くなっています。近代ホスピス運動に端を発したターミナルステージに対する関心は、1990年に出された世界保健機構(WHO)の緩和医療の定義(2002年改訂)に集約されます。そこには、身体症状のケアはもちろんのこと、さらに心理的、社会的、スピリチュアルな問題にもアプローチすることが医療の責務であると述べられています。 日本でも、ターミナルケア・緩和ケアを中心とする多くの施設や在宅チームが、活動をはじめ、その成果をあげています。現在では、緩和医療は緩和ケア病棟内に入院した患者やその家族にのみ提供されるのではなく、一般病棟内では緩和ケアチームが、がん治療で通院中の患者は外来で緩和ケア専門医療者が、在宅では地域医療機関と連携しながらかかりつけ医や訪問看護師らが協働して、緩和ケアをより積極的に、継続して、総括的に、がん治療段階から在宅、終末期に至るまで、幅広く緩和医療を提供するようになってきています。鹿児島においても、ターミナルケア・緩和ケアにおける諸問題に取り組んでいる方が、職種を越えて多数おられます。 そこで私たちは、情報交流、緩和ケアに関わっている人々の交流、そして、学びの場として、1998年「鹿児島ターミナルケア・ネットワーク」を設立(2001年、鹿児島緩和ケア・ネットワークに改名)し、多くの方の賛同をいただいています。設立から20年以上経過した昨今、緩和ケアは、近い将来、がん医療だけでなく、循環器疾患、呼吸器疾患、難病など命を脅かす重篤な疾患の患者やその家族を対象としていくことになります。 そのような時代の変遷に対応すべく、私たちは、この会の活動を通して、研究を深め、人材を育成し、各団体、諸施設、個人相互のネットワークを広げていきたいと考えています。 趣旨にご賛同の上、多くの方のご協力、ご参加をお待ちしております。
|
|||||